遊星ボールミルPM300は、2つの粉砕ステーションを備え、最大500mlのジャーを用いた粉砕が可能です。1バッチあたり220mlの試料を2個まで粉砕できます。最高回転数が800rpmと高速なため、遠心力が非常に大きく、粉砕エネルギーが非常に高いため、処理時間が短縮されます。
PM 300は、品質管理プロセスにおいて、純度、スピード、細かさ、再現性が最も要求される、事実上すべての産業に最適です。重力加速度の最大64.4倍という大きなエネルギー入力により、メカノケミストリー(共結晶スクリーニング、メカノシンセシス、メカニカルアロイング、メカノカタリシス)のような研究や、ナノメートルスケールの超微細コロイド粉砕に最適です。
レッチェの遊星ボールミルは安全性を特に重視しています。堅牢なセーフティスライダーを装備し、粉砕ジャーをクランプ装置で確実に固定しなければ粉砕を開始することが出来なくなっています。この実績のある弊社の機械式固定システムは、安全性の高い方式であるだけでなく、ユーザーがいつでもすぐにサンプルへアクセスすることも可能にしています。対する電子式の場合は機器の不調によりサンプルを取り出すことが出来なくなることもあります。PM300のユニークな安全機能はこれだけではなく、クランプユニットが25Nmの力で固定されると、音と表示でお知らせすることです。レッチェは、この作業を容易にする便利なクランプ固定用治具を提供しています。これら安全に関する機構は特に危険な600~800rpmの高速回転域で使用する場合に、しっかりと粉砕ジャーが固定されていることに寄与しています。
湿式粉砕は5μm以下の粒径を得るために行われます。小さな粒子は表面に帯電して凝集する傾向があり、乾式でさらに粉砕することが難しくなるからです。液体や分散媒を添加することで、粒子を分散したままにすることが出来ます。
湿式粉砕で100nm以下の超微粒子(ナノスケール粉砕)を作るには、衝撃よりも摩擦による粉砕が重要です。そのためには、表面積が大きく、摩擦点が多い小さな粉砕ボールを多数使用します。粉砕ジャーの充填量は、小径の粉砕ボールが60%程度が理想とされています。
ジャーへの充填、湿式粉砕、試料回収の具体的な様子については、こちらの動画をご覧ください。
動画は、遊星ボールミルPM100での湿式粉砕の様子です。
図に示すのは、PM300で二酸化チタン(TiO2)を650rpmと800rpmで粉砕した結果と粉砕にかかった時間です。800 rpmでの高いエネルギー投入により、粒子径はより速く粉砕されますが、高い回転数で粉砕を行う場合は粉砕による昇温に関しても考慮する必要があります(休止時間を設定するなどの対応が必要となる場合があります)。
0.1mm粉砕ボールを用いたリン酸ナトリウム水溶液中での二酸化チタンの処理時間
レッチェの遊星ボールミルは、メカニカルアロイングやメカノケミカル合成などのプロセスに最適です。通常はPM100とPM200の速度比1:-2で十分です。しかし、反応によってはより大きなエネルギーが必要になります。この場合、PM 400 MAのように、速度比1:-2.5または1:-3.0という、より大きなエネルギーを生み出せる機種がお勧めです。
PM 300は速度比1:-2で動作しますが、他のモデルとは対照的に、最高速度800 rpmと大型のサンホイールにより、64.4Gという到達加速度を実現します。12~80mlの小型粉砕ジャーを4個、または500mlの大型粉砕ジャーを2個使用できるため、メカノケミストリーの研究用途にも使用可能です。
遊星ボールミルの設定回転数と到達加速度の比較
試料調製の性能と結果は、粉砕ジャーと粉砕ボールサイズの選択によっても決まります。新しい粉砕ジャーは、最高回転数800rpmでの長時間粉砕、湿式粉砕、高負荷、最高回転数、メカニカルアロイングなど、過酷な使用条件に対応するよう特別に設計されています。新設計の粉砕ジャーは既存のレッチェ全ての遊星ボールミルでも利用可能です。
50~500mlの粉砕ジャーの底にアドバンスド・アンチ・ツイスト(AAT)と呼ばれる構造を採用しています。これにより、高速回転でもジャーがねじれることなくしっかりと固定され、磨耗や破損が激減します。
50mlと250mlサイズの粉砕ジャーは、従来の "コンフォート "モデルに比べ、直径が大きく、高さが低くなっています。これにより、粉砕結果の向上と、粉砕ジャー製品の直径寸法が3種類のみで全製品をカバーでき、蓋の共通化が可能となりました。
3種類の直径の蓋で対応する粉砕ジャーの容量
直径1:12mlと25mlの粉砕ジャー
直径2:50ml、80ml、125ml粉砕ジャー
直径3:250mlと500mlの粉砕ジャー
雰囲気制御用通気カバーとグラインドコントロールの両方に、様々な材質のインレイ(内蓋)を取り付けることができるようになりました。そのため、材質ごとにご購入いただかなくても、インレイを交換するだけで、例えばスチール製とジルコニア製の粉砕ジャー両方に対応することが出来るようになりました。
最適な粉砕結果を得るためには、処理する試料の量に合わせた粉砕ジャーの大きさが必要です。粉砕ボールの大きさは、最大の試料片の3倍が理想的です。この法則に従って、各ボールの大きさとジャー容積に対応する粉砕ボールの数を下表に示します。例えば、7mmの粒子を200ml粉砕する場合、500mlのジャーと20mm以上の粉砕ボールを推奨します。この表から、25個の粉砕ボールが必要であることがわかります。
粉砕ジャー 通常容量 |
試料量 | 最大投入サイズ | 推奨ボール投入量(個) | ||||||
Ø 5 mm | Ø 7 mm | Ø 10 mm | Ø 15 mm | Ø 20 mm | Ø 30 mm | ||||
12 ml | < ≤5 ml | <1 mm | 50 | 15 | 5 | - | - | - | |
25 ml | < ≤10 ml | <1 mm | 95 – 100 | 25 – 30 | 10 | - | - | - | |
50 ml | 5 – 20 ml | <3 mm | 200 | 50 – 70 | 20 | 7 | 3 – 4 | - | |
80 ml | 10 – 35 ml | <4 mm | 250 – 330 | 70 – 120 | 30 - 40 | 12 | 5 | - | |
125 ml | 15 – 50 ml | <4 mm | 500 | 110 – 180 | 50 – 60 | 18 | 7 | - | |
250 ml | 25 – 120 ml | <6 mm | 1100 – 1200 | 220 – 350 | 100 – 120 | 35 – 45 | 15 | 5 | |
500 ml | 75 – 220 ml | <10 mm | 2000 | 440 – 700 | 200 – 230 | 70 | 25 | 8 |
ボールミル粉砕を適切に行うためには、条件設定、粉砕ジャーへの試料投入量が重要となってきます。表を参考に適切な量を守ってご使用いただく事を推奨しています。例外的に、粉砕ボールの数を15%以下減らすことができますが、その場合、アクセサリの摩耗が増加します
レッチェの遊星ボールミルは、次のような様々な材料の粉砕に適しています。合金、ベントナイト、骨、炭素繊維、触媒、セルロース、セメントクリンカー、セラミックス、木炭、化学製品、粘土鉱物、石炭、コークス、コンポスト、コンクリート、電子廃棄物、繊維、ガラス、石膏、毛髪、ハイドロキシアパタイト、鉄鉱石、カオリン、石灰石、金属酸化物、鉱物、鉱石、塗料およびラッカー、紙、顔料、植物材料、ポリマー、石英、種子、半貴石、下水汚泥、スラグ、土壌、組織、タバコ、廃棄物サンプル、木材、等。
試料 11 g
タングステンカーバイド製粉砕ジャー 50ml
タングステンカーバイド製粉砕ボール 4 x 20 mm
粉砕条件 400 rpmで4分間
試料 85 g
ジルコニア製粉砕ジャー 125 ml
ジルコニア製粉砕ボール 7 x 20 mm
粉砕条件 500 rpmで12分間
試料100g+リン酸ナトリウム溶液190ml
ジルコニア製粉砕ジャー 500 ml
ジルコニア製粉砕ボール 1 kg 2 mm
粉砕条件:650 rpmで3分30秒
温度を低く保つために休止時間を設定
試料 125 g
ジルコニア製粉砕ジャー 500 ml
ジルコニア製粉砕ボール 8 x 30 mm
粉砕条件 350 rpmで3分間
当社の測定器は、科学や研究における幅広い応用分野のベンチマークツールとして認められています。これは、科学出版物における広範な引用によって反映されています。以下に掲載されている記事をご自由にダウンロードし、共有してください。
用途 | pulverizing, mixing, homogenizing, colloidal milling, mechanical alloying, mechanochemistry, co-crystal screening |
分野 | エンジニアリング / 電子工学, ガラス / セラミックス, 化学, 医学 / 薬学, 地質学 / 冶金学, 建材, 環境 / リサイクリング, 生物学, 農業 |
投入試料の性質 | 柔らかい、硬い、脆い、繊維質 - 乾いている、湿っている |
粉砕方法 | 衝撃力, 摩擦力 |
試料投入サイズ* | < 10 mm |
粉砕粒度* | <1μm、コロイド粉砕の場合 <0.1μm |
投入試料量* | 最大 2 x 220 ml |
粉砕ジャー装填台数 | 2台 |
公自転比 | 1 : -2 |
公転回転数 | 50 - 800 rpm |
有効公転直径 | 180mm |
加速度 | 64 g |
粉砕ジャーの種類 | 粉砕ジャーのオプション:雰囲気制御用通気カバー、密閉用クランプ |
粉砕セットの材質 | hardened stainless steel, タングステンカーバイド, メノウ, 焼結酸化アルミニウム, 酸化ジルコニウム |
粉砕ジャーのサイズ | 12 ml / 25 ml / 50 ml / 80 ml / 125 ml / 250 ml / 500 ml |
積み重ね可能なジャーのサイズ | 12 ml / 25 ml / 50 ml / 80 ml |
Adapter for single-use glas vials | 24 x 1.5 ml / 7 x 20 ml |
粉砕時間の設定 | デジタル, 00:00:01 ~ 99:59:59 |
インターバル・モード | 可, 反転機能付き |
反転時間 | 00:00:01 ~ 99:59:59 |
休止時間 | 00:00:01 ~ 99:59:59 |
SOPを設定可 | 12 |
粉砕サイクル設定数 | 4 |
投入エネルギーの測量 | あり |
シリアル・インターフェイス | USB, RASPI |
モータ | 3相 非同期モーター 周波数コンバーター付 |
ドライブ | 2,5 kW |
電圧 | 200-240 V, 50/60 Hz |
電源 | 単相 |
保護等級 | IP 20 |
消費電力 | ~ 3335 VA |
W x H x D(カバーを閉じた状態) | 745 x 525 x 580 mm |
本体重量 | ~ 118 kg |
規格 | CE |
特許 | あり |
粉砕ジャーは遊星ボールミルのサンホイールの上に偏心して配置されています。サンホイールの運動方向と粉砕ジャーの運動方向は1:2の割合で逆になっており、粉砕ジャー内の粉砕ボールは重なり合った回転運動、いわゆるコリオリの力を受けます。
ボールと粉砕ジャーの速度差により、摩擦力と衝撃力の相互作用が生じ、高い動的エネルギーが放出されます。これらの力の相互作用により、遊星ボールミルは非常に効果的な粉砕を行うことが可能です。
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